願望。

ほろ酔いの彼が、とろんとした目で言った。
「俺、まだ梨菜ちゃんを閉じこめておきたい願望がある」
という言葉が出ると言う事は、彼の中で私の束縛を緩くした意識があるんだろう。と思ったけど、少しドキッとした。
複雑な表情だったんだろうな私。
彼は、続けて言った。
「箱の中に梨菜ちゃんを小さくして入れてね、そこに小さい街を作って、小さくした梨菜ちゃんの友達も入れて、梨菜ちゃんを王様にするの。梨菜王国で梨菜ちゃんは楽しく暮らすの。それで、俺が仕事から帰ってきたら、ひょいってつまんで出して、びよーんて大きくしてギュッてするの」
いつものおかしな妄想話になった；
「まぁそんな事言ってw」
面白い話として流したけど、私が彼の気持ちを受け入れて一緒にいるようにならなかったら、犯罪者になってたんじゃないかって少し考えて恐くなってやめた。
まだ離れていた頃、彼が私の事を考えて、いけない妄想をふくらませていた話とか、「俺、本当に梨菜が好きだったんだよなぁ」ってしみじみ言ってるのとか、聞いてると、ふとすごく今の生活が不思議に思えてくる。
今みたいな生活なんて、想像もしてなかった。
もしかしたら、前の旦那とうまくいかなくなって、離れる事があって、誰かと新しい生活をするようになるかもしれないという想像をした事はあったけど、
こんなに愛してくれる人と結ばれるなんて、夢にも思ってなかった。
生活に疲れて、普通の生活をできる人と、平凡にゆっくりと暮らす事を選ぶ事があるのかもしれないって、想像する相手は彼のような激しい人ではなかった。
私が私で有る限り、そういう人生はないのかもしれないな。
「そういう運命だ」とか、「そういう星の元に生まれたのね」とかそういうんじゃなくて、すべては私が引き寄せたモノなんだろう。私の気質というか、持っているものが、意識しないで選択した全ての事が結果を作った。
みんなそうして生きているんだよねきっと。
「どうしてこうなったのか」
思うように生きているつもりでも、一変する事もある。
でも、実はそうなるように自分がしているのかもしれない。
人生って不思議だわ。

ていうか、今日私の誕生日だった；
ハッピーバースデー　トゥー　ミー☆
あはは